「乙号証の供述調書の証拠意見書(被告人)」を公開します【起訴された被告人とご家族へ】©2024川口崇弁護士
起訴されたあなた(被告人)が、
納得のいく刑事裁判を受けられるように🙏
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被告人本人が裁判所にこの「証拠意見書」を提出すると、 被疑者段階で作成されたあなたの供述調書は、原則として裁判で使われません。 |
刑事裁判で起訴されたあなた(被告人)に向けて、
被告人として提出できる証拠意見書を無償公開します。
必ず【注意事項】と説明文を最後まで読んでから、ご利用ください。
【注意事項】
(証拠意見書について)
・免責事項:証拠意見書の利用について、著作者は一切の責任を負いません。自己責任でご利用ください。
・刑事裁判実務を理解した弁護士が作成しており、証拠意見書の利用により利用者らに不利益になる事態は想定されません。しかし、万が一、利用者らに何らかの損害が発生した場合にも、著作者は一切の賠償義務を負いません。
・弁護人の法律事務所に連絡して、あなたが証拠意見書を利用することを伝えてください。
・あなたが、あなたの弁護人に「検察官には私の供述調書を使わせずに、被告人質問先行でやってほしい」と希望すれば、多くの弁護人は理解のうえで、あなたの希望に沿った弁護活動をしてくれるはずです。
・あなたが裁判所に証拠意見書を提出すると、弁護人の証拠意見よりも優先され、あなたの乙号証の証拠意見は「不同意」として扱われますので、裁判では強い効力があります。
(ご相談等について)
・事件に関する疑問は、あなたの弁護人に質問してください。
・事件のセカンドオピニオン、証拠意見に関するご相談は有料です。著作者の川口崇弁護士への法律相談料は1時間11000円です。ご相談には予約が必要です。
・著作者の川口崇弁護士に、警察署や拘置所に出向いて勾留中の被告人ご本人と面会するセカンドオピニオンをご希望の場合、初回面会報酬(5万5000円)が必要です。神奈川県外の場合には出張日当と交通費が発生します。ご家族等からご連絡をいただき、面会前に振込みで報酬をお支払いいただく必要があります。
・勾留中の被告人ご本人のお手紙による直接の面会のご希望には対応できません。必ず、ご家族等からご連絡いただくようお願いいたします。
【証拠意見書の印刷と裁判所への提出】
PDF等ファイルをダウンロードして印刷して、署名・押印のうえで
刑事裁判を担当する裁判所に提出してください。郵送で問題ありません。
証拠意見書ダウンロードリンク
(印刷方法)
PDF等のデータ印刷は、コンビニでも行うことができます。
パソコンからUSBメモリにPDFデータを保存し、コンビニプリントが簡単です。
パソコンとプリンターを持っていなくとも、スマホアプリから印刷が可能です。
セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート の他、コンビニプリントで印刷できます。
(説明動画:セブンiPhone・セブンAndroid・ローソン・ファミマ)
被告人ご本人が警察署や拘置所に勾留されており、
ご家族がこのページをご覧になっている場合には、
「証拠意見書」と「本稿のページを印刷」して
被告人ご本人に郵送して差し入れると参考になるはずです。
※万が一、警察署・拘置所に差し入れを拒否された場合、
ご家族から、裁判所の担当裁判所書記官に電話して、
証拠意見書の差し入れを拒否された経緯を伝えてください。
担当書記官から担当裁判官に事情が伝わるはずです。
担当者は、地方裁判所に電話して刑事部訟廷係で教えてくれます。
【証拠意見書の内容について】
この証拠意見書は、裁判所に対して
警察官や検察官が作成したあなたの供述調書を
刑事裁判で使わないように希望する意見書です。
実は、裁判官は、刑事裁判の開始時点で一切の証拠を見ていません。
裁判官は、あなたの手元にある「起訴状」の情報しか知りません。
(法律用語では、起訴状一本主義と呼ばれています。)
検察官は、あなた(被告人)が
起訴の前(被疑者)の段階で供述した内容をまとめた
「被告人の供述調書」を証拠として請求します。
乙第1号証・乙第2号証・乙第3号証・乙第4号証…と、
一般に「乙号証」と呼ばれる証拠ナンバーがふられます。
裁判長は、はじめに、弁護人に対して、
「検察官の請求証拠を刑事裁判で使っても良いですか?」と意見を聴取します。
(実際には「弁護人、請求証拠に対するご意見は?」等と聞いています。)
弁護人の中には「すべて同意します。」と漫然と意見してしまう方もいます。
そして、裁判長は、弁護人に証拠意見を聞いた後で、さらに
あなた(被告人)にも、証拠意見を確認してくれるわけではありません。
このタイミングであなたが何も意見(異議)を述べなければ
検察官の請求する全ての証拠が採用されて法廷で読み上げられます。
あなたが何も言わなければ、弁護人の証拠意見があなたの証拠意見になります。
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あなたが供述調書↑にサインor押印をしてしまうと 検察官は裁判の証拠として供述調書を請求します。 ※出典:「司法警察職員捜査書類基本書式例」 (山中理司先生のブログより引用したPDFより画像作成) |
検察官の請求証拠には、あなたの供述調書が含まれています。
もし、あなた(被告人)が、被疑者段階で作られた供述調書を
「警察官や検察官が作った内容だから裁判では使ってほしくない」場合、
あなたは、裁判長に対して「不同意です!」と証拠意見を述べるべきです。
日本弁護士連合会は、供述調書を「作文を許さない」と強く批判しています。
取調官の作文を許さない
あなたが警察官や検察官の前で話したことを「供述」といいます。
そして、警察官や検察官は、「供述調書」という文章をまとめます。
しかし、供述調書の内容は、あなたが話した内容をそのまま書いたものではなく、あなたの話したことと、取調官の考えが混ざってしまい、どこまでが本当にあなたが話したことで、どこからが取調官の作文かは、区別がつきません。
日本の取調べには、弁護人の立会いが認められていません。また、後に説明するように全過程の録画・録音がなされている場合でなければ、どれがあなたの言葉なのか、後からは調べようがないのです。
供述調書は、事件の「証拠」になります。供述調書が裁判所で「証拠」として採用された場合、裁判は供述調書で決まるといっても言い過ぎではありません。
裁判で、「実は供述調書に書いてあることは違う」とあなたが言ったとしても、裁判所に信じてもらうことは非常に難しいのが実情なのです。
ですから、取調官によって供述調書が作成される際には、次の点に十分に注意してください。
(日本弁護士連合会「被疑者ノート」より引用)
あなたの経験した事実は、あなただけにしか語れない物語です。
あなたが、あなたの言葉ではない・警察官や検察官の言葉で書かれた供述調書を
裁判では使ってほしくなければ、遠慮なく「不同意です!」と声をあげましょう。
・あなたが、法廷で「不同意」と証拠意見を述べ、
または、この証拠意見書を裁判所に提出するだけで、
あなたの供述調書は、原則として裁判では使われません。
ほとんどの場合、検察官は、供述調書を請求することを諦めて、撤回します。
・反対に、あなたが何も意見を述べなかった場合には、
「異議がなかった」→「同意した」とみなされます(これが最高裁判所の判例です)。
裁判が終わったあとで「私は同意していない!」と言っても、後から撤回は難しいです。
※恐ろしいことに、昭和26年判例によれば、被告人が何も意見を言わないと
被告人の「同意」があったものとして裁判所に扱われてしまいます。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55535
これから、あなたの刑事裁判がはじまって、緊張する法廷の場では、
「不同意です!」と自分の言葉で説明をすることが難しいのではないでしょうか。
なぜなら、検察官の請求証拠のコピーは弁護人だけに許可されており、
法廷ではあなた(被告人)の手元にはないことが多いでしょうから、
不同意にしたい証拠ナンバー(乙○号証等)を言い当てることもできません。
そこで、筆者が、被告人の「証拠意見書」を作成して無償公開しました。
証拠意見書は、主に起訴状の公訴事実を認めている事件で役立つ内容です。
(公訴事実を否認する事件では、通常、弁護人が乙号証を不同意と意見します。)
裁判員裁判で使用する場合には、公判前整理手続き期日で提出してください。
パソコン等で証拠意見書を印刷をして審理を担当する裁判所に提出してください。
あなたが、供述調書を「不同意」とする証拠意見書を提出すれば、
原則として証拠採用されず、検察官は裁判所で読み上げることができません。
少なくとも、あなたの被告人質問の前には、乙号証を採用することはできません。
【被告人質問先行について】
ところで、証拠意見書に記載した
「被告人質問先行」とは、
「被疑者段階の供述調書を採用せず、被告人から直接話を聞く」という、
刑事訴訟法が原則で定め、かつ、令和時代の刑事裁判の新しい審理方法です。
昭和・平成までの刑事裁判は「(供述)調書裁判」と批判されてきました。
裁判官が、法廷で被告人の話を聞かずに自室で供述調書を読むことで
事件に対する印象(動機や経緯・罪の重さや判決)を決めていました。
近年、司法研修所(司法試験に合格した法曹の卵が実務を勉強をする国の機関)では、
司法修習生(将来の裁判官・弁護士達)に対して「被告人質問先行」の教育をしています。
ただし、あなたの弁護人が「被告人質問先行」を十分に理解していない場合があります。
弁護人が証拠意見書の意味を質問をしてきたら、以下の記事を読むように教えてあげてください。
【最後に】
刑事裁判は、あなた(被告人)のための裁判です。
刑事裁判は、弁護人(あなたの代理人)のための裁判ではありません。
実際に判決を言い渡されることになる人間は、あなた(被告人)です。
筆者は一人の弁護士として「納得のいく裁判」になることを祈っています🙏
横浜家庭法律事務所 弁護士川口崇
〆
(ご相談等について)
・事件に関する疑問は、あなたの弁護人に質問してください。
・事件のセカンドオピニオン、証拠意見に関するご相談は有料です。著作者の川口崇弁護士への法律相談料は1時間11000円です。ご相談には予約が必要です。
・著作者の川口崇弁護士に、警察署や拘置所に出向いて勾留中の被告人ご本人と面会するセカンドオピニオンをご希望の場合、初回面会報酬(5万5000円)が必要です。神奈川県外の場合には出張日当と交通費が発生します。ご家族等からご連絡をいただき、面会前に振込みで報酬をお支払いいただく必要があります。
・勾留中の被告人ご本人のお手紙による直接の面会のご希望には対応できません。必ず、ご家族等からご連絡いただくようお願いいたします。
・記事へのコメントは「公式LINE」からご送付ください💬
刑事裁判で使ってみた感想・感謝のコメントは、歓迎いたします。